MJ代表・ピアニスト
音楽評論家 濱田滋郎先生による評
「紛れもない、詩情を奏でるピアニスト」
モンポウ夫人カルメン・ブラーボを日本へ招き、コンサート・シリーズ「モンポウ・フェスティバル」が催されたのは1992年5月のことだった。“スペインピアノの詩人”没後5年を期してこの催しの一環として「モンポウ記念コンクール」があり、幾人かの若いピアニストが技を競ったが、そのとき第一位を得、審査委員長ブラーボから格別の賛辞を贈られるとともに「モンポウ特別賞」に浴したのが大背戸亜紀子であった。この折、ブラーボは「俳句を愛し、鐘の音の余韻が好きだったモンポウの音楽は、日本人の感性によく合うのでしょうか。ほかのどの国のピアニストたちよりも、よく雰囲気をとらえた演奏が聴けました」と述べている。
大背戸亜紀子はやがてスペイン留学、その間、ブラーボはもとより、アリシア・デ・ラローチャからもレッスンを受けるなどして、モンポウのみならずスペイン音楽ないしラテン系音楽を表現するための技術と感性に磨きをかけた。たんに音符を負い、正確に奏でる以上のことを、すなわち音楽に心を与え命あるものとして躍動されるすべを、このピアニストは身にそなえている。
紛れもない詩情を奏でるピアニスト、大背戸亜紀子が、ぜひ広く知らせてほしい。
主な協奏曲演奏リスト
2014年 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 |
2014年 | ガーシュイン ラプソディ・イン・ブルー |
2014年 | モーツァルト ピアノ協奏曲第23番 (以上、新垣隆指揮 音大生オーケストラ) |
2016年 | ピアノ協奏曲第12番 (以上、アンサンブル・ラディアント) |
コンサート・シリーズ 現在進行中
2011年より | 「VSJヴァイオリン製作協会」のコンサートで、ヴァイオリニスト三澤裕美子と定期的に共演 |
2015年より | 「フランス詩と音楽シリーズ」をバリトン 根岸一郎、ソプラノ 盛田麻央とともに定期的に開催 |
2015年より | 濱田滋郎先生「スペイン音楽のたのしみ」シリーズを定期的に開催 |
2016年より | チェコ音楽シリーズをヴァイオリニスト山﨑千晶、ソプラノ歌手日向野菜生、チェコ・ワイン専門家遠藤まゆみと定期的に開催 |
2023年より | 美しい歌シリーズをバリトン 根岸一郎と始動 |