半べそのバルトーク

  MJでは、作曲家バルトークの作品を、毎日の練習で弾いたり、発表演奏会で弾いたり、勉強会の大きなテーマとしてとりあげたりします。MJの生徒さんたちにとっては大変身近な作曲家です。私自身が、2005年に亡くなったハンガリーのジェルジー・シャンドール氏にザルツブルグで6週間師事していたというご縁もありますが(シャンドール氏はバルトークの直弟子、プロコフィエフの研究科)、何よりその数学的で組み立てぬかれ、超越して曲となっているところに大きな魅力を感じています。

  音楽計算や構成をつかむことが得意そうな子どもにバルトークの「ミクロコスモス」という曲集を紹介し、練習課題として提示すると、次のレッスンで喜々として演奏します。反対に、メロディーに歌詞をつけていつも歌うように弾く、ファンタジックなセンスを多く持つ子どもにそれを提示すると、二の足どころか、三の足を踏んでしまうことも多々。それでも、昨日小3の女の子(おそらく後者のセンスを多く持つ)が「ねぇ、先生、バルトークを半べそかきながら頑張ったんだよ!聞いてよ!」と言ってくる(ちなみにこの半べそは親御さんに叱られて、という意味ではありません。素敵な親御さんで、子どもが半べそをかきながら自分で夢中になって取り組んでいるところを、遠くで支えてくれている)。

 「はいはい、楽しみ、聞かせて!」。。。。。「スン(四分休符)と二部休符がどうしても取れない、どうしたらいいかな」。。。。。はい、ゆっくりじっくり話し合いながらの手ほどきは、もちろんしましたよ!

  いやいや、素敵な子どもの力。練習の仕方は彼女自身がこれから発見して行くのでしょうけど、その半べそをかきながらも、弾いてみたい!という力が伝わりました。ファンタジックな彼女の中にも、バルトークのおかげで論理性がついてくる。とてもステキなことだなー、と目を細めました。

12:08 PM , 20/03/2015 半べそのバルトーク はコメントを受け付けていません
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